展示品ギャラリー
古今日女鑑 松島局
「最後の浮世絵師」と謳われた月岡芳年の「古今日女鑑」シリーズ
松島局(まつしまのつぼね)
局ハ鎌倉の営中に
仕ふ父ハ佐渡守藤原の親泰なり
美人の名営中に冠たり
和田義盛
局が志操篤実なりを聞き三男
義秀の妻にせんと将軍に請〔ひ〕
許しを得て義秀の妻可為(なるべく)に
定まりたるを執権義時が二男
朝時もかねてより局に春恋し
居たれば和田氏へ結婚做(な)せしを
憤り尼公に内訴す政子自愛に溺れ
松島を召篭(めしこめ)和田へ渡さず君命を以て
厭倒し強て朝時へ嫁さしとめんとす
局前約を守り義を義秀に立て従ハず
尼公の前に臨んで婦道の捨〔て〕かたきを演説し改婚を辞す
尼公ゆるさず強□に命に違ふを以てす
松島忠貞全くする能ハざるに逼り剣に伏て死す時に十八歳とぞ
逼りて死を楽(この)むハ婦人の常そハ賞するに足ものならねど難に臨で
節を変□す一言の約を重んじて貴重の命を捨(すつ)嗚呼薄命の烈婦