日本歯科大学新潟生命歯学部 医の博物館

展示品ギャラリー

近世水滸伝 平手壹岐(ひらて・いき) 市川小団次

近世水滸伝 平手壹岐(ひらて・いき) 市川小団次

元来鎌倉の浪士にして若冠の頃より剛気
暴性たり其頃有名の剣道師範伊場何某に
随従し武術の奥義を極ると雖酒癖
悪(しき)が故に師の勘気を蒙り諸国武者修
業のをりから常州鹿島の割烹家に
□い□□ おほひに発酔のき□み
当地に滞留の剣道師高嶋剛太夫と
いへるもの同じく茲に来な□をて
平手が垢染にたる衣服をまとひたるを
見下し門下の壮士們と共にさまざまに
嘲りたっるにより壹岐酩酊のうへ
なれば怒気心頭に充満て
畢に雌雄を決せんと議し
双方外面に立出つつ一上一下と
戦ふに兼て修練の平手が太刀筋
一声さけぶ刃の下に剛太夫を□段となす
時しも高島の門人們師の仇遁さじと
抜つれて切かかるに鬼を欺く平手といへども
多勢に一個いと危きをりから競力富五郎が為に加勢を得て高島が門人們を
鏖しになせしより其恩義に競力か為に一命を軽んじ後笹川の
闘場に討死にをぞ遂げたりたる
略伝史 仮名垣魯文暗記