展示品ギャラリー
リスター式石炭酸噴霧器
19世紀半ば、痛みと傷口からの感染を麻酔法と消毒法により克服したことから、近代外科学は急速に発展した。
麻酔法は1840年代にアメリカの歯科医ウエルズが笑気麻酔で、モートンがエーテル麻酔により無痛抜歯を行ったことから始まり、苦痛なしの手術が大きな救いとなって複雑で時間のかかる手術を可能にした。
イギリスのJ.リスター(1827-1912)は、外科手術のあとに傷口が腐敗するのは大気中の細菌(微生物)だと考えて、石炭酸(フェノール)による防腐法(消毒法)を開発した。
空気中の細菌を死滅させるため、熱で気化した石炭酸を手術時に噴霧したが、1867年に採用したこの防腐法により手足の切断術を行った患者の死亡率が激減する。
石炭酸の噴霧により手術室内が耐え難い臭気に覆われたため、流水による手洗いが頻繁に行われたことが消毒や滅菌法の発展につながったと言われている。