展示品ギャラリー
根付(お歯黒をつける婦人)
根付は印籠や煙草入れ、矢立などを紐で帯に吊るして持ち歩く時に、帯から落ちないように作られた留め具で、江戸時代中期から男性の装身具として普及した。
後代には実用よりもさまざまな意匠を凝らしたものが製作されるようになり、工芸品として収集の対象となった。
写真の根付は、鏡を見ながらお歯黒をつける老婦人の姿を彫刻した象牙製。
約3センチ×4センチ、高さは約3センチで、足元にはうがい茶碗などのお歯黒用具も彫られている。
桑の木の台に座った姿で、根付の裏面には足の裏も刻まれ、紐を通す穴が開けられている。
箱書には「一夫」と記され、現代根付の作家水谷一夫の作品と思われる。