展示品ギャラリー
花暦吉日姿 爐開(ろびらき)よし
幕末の人気浮世絵師三代豊国(歌川国貞)の「花暦吉日姿」シリーズ
「炉(爐)開き」は初冬の季語で、炉を開いて囲炉裏などに火を入れることをいう。
陰暦10月の亥の日が炉開きの日と決められ、この日に茶道で使う炉に火を入れた。絵は、お歯黒の女性が頭巾に頭をつつみ、道行く姿を描く。
詞書を記した万亭応賀(まんていおうが)は幕末の戯作者で、本名は服部孝三郎。父の服部長狭勾当の出資により士分の株を得、常陸下妻藩に仕えたが、まもなく辞して戯作者となった。
頭巾(ずきん)着て
あかい心を下戸らしふ
やつす姿も道ゆきの
散し紅葉(もみじ)ハしら雪が
人目(ひとめ)つつめど隠れ家の
ふすいの床(とこ)でいねもかれ
ふしてやぬれん
爐びらきぞよし
作者 万亭おう賀述