展示品ギャラリー
注射器
ヨーロッパの古い医療は下剤と浣腸と瀉血から成り立っていたと言われる。
その浣腸器をまねて、フランスのシャルル・ガブリエル・プロヴァーズが1852年に銀製の注射器を製作した。
現在のようなピストン式によるものではなく、ねじこむように溝が彫られていた。
プロヴァーズは整形外科の医師で、動脈瘤に薬物を注入して治療する目的でつくった注入器が、のちに「プロヴァーズの皮下注射器」と呼ばれるようになった。
しかし、動脈瘤の治療には無効であると学会で批判され、翌1853年に失意のうちに世を去る。
同じ年にスコットランドのアレクサンダー・ウッドが、神経痛の患者に鎮痛の薬液を注射したのが皮下注射の最初と言われている。
日本では、明治6年(1873)に森鼻宗次が『皮下注射法』を訳述した。