展示品ギャラリー
花暦吉日姿 元服(げんぷく)よし
幕末の人気絵師、三代豊国(1786-1865、歌川国貞、自らは二代豊国と称した)の連作「花暦吉日姿」の中の一枚で、詞書は幕末~明治期の戯作者万亭応賀(1818?-90)。
歯を黒く染めるお歯黒は銕漿附(かねつけ)とも呼ばれ、江戸時代から明治中頃まで、既婚女性の風習だった。
10代後半の未婚女性が歯を染めることもあり女元服と言われたが、この浮世絵の詞書では、銕漿附に「げんぷく」とルビを振っている。
花暦吉日姿 元服(げんぷく)よし
いたづらに
濃字(こいじ)の墨の筆なめて
雪のしら歯もぬばたまの
夜(よ)事の色をばたのしみに
いつか妹背をまつ宵(よひ)の
月の鏡の雲ならで
くろう染めたる銕漿附(げんぷく)ぞよし
作者万亭応賀述