生化学講座
所属構成員等
教授/森田貴雄 博士(医学)・理学修士
准教授/竹澤晴香 博士(歯学)
講師/今井あかね 博士(歯学)(併任)
大学院生/板垣壮侑
非常勤講師/螺良修一
近年、医療場面では患者さんのQOL(Quality of Life/生活の質)を向上させることが重要視されています。唾液を十分に分泌することは、特にさまざまな治療を受けている患者さんにとって、非常に重要なことです。なぜなら、唾液は口腔を潤し、食物を飲み込むのに不可欠で、また、歯を齲蝕から防ぐ役割も持っているからです。
唾液腺は唾液を分泌する外分泌腺として水分、粘液、タンパク質などを分泌する大きな役割を持っています。しかし、古くから研究されているにも関わらず、どのようにして唾液が分泌されるのか、細胞の内部で何が起こっているのか、多くのことが未知のままです。また、口腔乾燥症治療薬(唾液分泌促進薬)が唾液分泌を促進する分子メカニズムもあまりわかっていません。
当研究室では、唾液分泌を促進する分子メカニズムの解明について、遺伝子操作技術を用いて研究を行っています。従来は口腔乾燥症に対して、促進薬を使って強制的に唾液を出させる治療が行われてきました。これに対して、私たちは唾液が出やすくなる様に唾液腺を変化させるという新たな治療法を目指しています。
また、がん細胞を特異的に画像化する研究や、近年注目される光免疫療法を応用した新規のがん治療法開発も行っています。光免疫療法とは、近赤外光をあてることでがん細胞のみを死滅させる新しいがん治療法で、今後の発展が見込まれる分野です。
国内外の他大学や本学他講座との共同研究も行っており、これらの研究を通じて患者さんの健康やQOLの向上へ貢献することを目標としています。
研究テーマ
- ドライマウス治療薬(唾液分泌促進薬)による唾液分泌亢進の分子機構の解明 Investigation of molecular mechanisms in salivary secretion induced by a therapeutic drug for dry mouth.
- 口腔乾燥症モデル動物における唾液および唾液腺の病態生化学的解析 Pathological biochemistry on saliva and salivary glands in animal models of xerostomia.
- 受容体刺激による細胞内シグナル伝達機構の解明 Elucidation of molecular mechanisms of intracellular signaling through receptor stimulation.
- 頭頚部癌における光免疫療法と蛍光イメージング Photoimmunotherapy and fluorescence imaging for oral and maxillofacial malignant tumor.
学生教育
おもに、基礎的な生化学と口腔生化学分野について、講義と実習を行っています。
担当講義
- 生化学
- 口腔生化学
- 唾液と唾液腺
- 生体機能調節学
担当実習
- 分子生命科学実習