日本歯科大学 新潟生命歯学部

地域の方へ

退院時カンファレンス事業

新しい在宅歯科医療の推進に向けて
社団法人 新潟市歯科医師会、社会福祉法人 新潟市社会事業協会
信楽園病院との退院時カンファレンス事業を始めました。

平成22年度の診療報酬改定では、中央社会保険協議会(中医協)の重点課題項目として、在宅歯科医療の推進、多職種間での連携促進、退院時共同指導・退院指導の強化があげられました。これを受けて厚生労働省も、在宅歯科医療の充実・強化として、地域に在宅歯科医療連携室を設置し、在宅歯科医療における医科や介護等の他分野との連携を図るための窓口として活用する在宅歯科医療連携室整備事業を実施することになり、各都道府県に設置を開始しました。在宅歯科医療を巡る多職種連携の動きが急速に活発化してきました。

 一方、急性期病院では、急性期入院患者の合併症を防止し、在院日数の減少や患者QOLの向上が急務となっています。そして合併症防止の一手段として、急性期入院患者に対する口腔ケアが急速に浸透してきています。ところが、急性期入院期間は、看護師や病院内の歯科専門職が日常的・専門的口腔ケアで介入し、口腔内環境が維持されても、慢性期となり退院すると、居宅介護や介護保険施設等への引き継ぎがなされないために、口腔衛生状態が悪化し、誤嚥性肺炎等で再入院する等の問題が生じていました。急性期から慢性期への移行期に、口腔内に歯科治療や口腔ケアのニーズがありながら、在宅歯科医療に繋がらない点が問題点だったのです。一方、介護医療の現場では多職種連携の重要性が増しており、急性期病院から居宅介護に移行される患者さんと家族を対象に、退院前に、居宅介護・医療に関連する職種が一堂に介し、カンファレンスを開催し、問題点を共有し、よりよい介護医療サービスに繋げて行く「退院時カンファレンス」の重要性が増していました。しかし、多忙な中、多職種が一堂に会するのは困難なことが多く、実現しにくい状況でした。そこで、以前から病棟での口腔ケアに熱心であった新潟市の信楽園病院さんにおいて、医療連携室や看護部の全面的な協力のもと、新潟市歯科医師会と日本歯科大学新潟病院との共同事業として、歯科医育機関と歯科医師会が連携した退院時ケアカンファレンスモデル事業を平成22年11月より開始しました。退院後も口腔ケアや歯科治療が必要な患者さんに対して、ご本人や家族に、その必要性を説明し、実際に在宅歯科診療ケアを行う「かかりつけ医」もしくは新潟市歯科医師会会員で在宅歯科医療を熱心にされている先生を紹介し、引き継ぎを行います。それはカンファレンスの場で行われ、患者さんに関わる全ての職種が口腔の問題を共有してもらうという趣旨があります。もちろん、歯科医師も今後在宅歯科医療を行うに際し、同じ患者に関与している他の職種と「顔が見える関係」になりますから、その後の連携にむけて大きなメリットがあります。
 
 本学は、歯科医育機関として在宅歯科医療を教育の大きな柱として、臨床実習生には必須項目としています。これからの歯科医療は、急性期から慢性期にいたるシームレスな在宅医療に歯科も多職種と連携して在宅歯科医療を推進していくことを重要と考えていますので、本事業も臨床実習生の見学に関してもご許可いただき、新しい歯科医師の活躍現場を学んでもらっています。

医療・介護との連携した在宅歯科医療

退院時カンファレンス歯科医育機関と歯科医師会が連携した地域連携在宅歯科診療モデル事業